ドライ・アイ
「目が乾いて仕方ないのは、エアコンのせいだよ。
だってホラ、お店の空気って悪いじゃん。
肩こりも頭痛もダルいのも、みんなドライ・アイから来てるんだって。
目薬買いなよ、ちょっとはマシになるからさ。」
女のコがそう言うもんだから、目薬を買いに薬局へ行ったけどよくわかんなくて。
あたしmailしてない人だから、目薬とかさしたことないんだよね。
それで結局、薬剤師に勧められたナミダ成分とかいうの買ったんだけど。
なんか損した気がするんだよね、だって有効成分とか全然入ってないじゃん。
色だってビタミンE入りならピンク色でカワイイのに、コレはただの透明だしさ。
ホントにこんなんで効くのかな。
ポチョン
・・・別に変わんないよ。(片目じゃダメだよ、両目やったら?)
ポチョン
・・・マスカラ、落ちてない?(大丈夫だけど、どぉ?)
やっぱり全然変わんないよ、コレ。
そんなすぐ効くわけないじゃんって、さしまくっても時間経っても全然ダメ。
やっぱお店の空気が悪いから。
加湿器買ってくれるようなトコ行けば、目薬だって要らないんじゃん?
なんかココってお客もショボいし、よそ行こよそ。
お金だってもっといいトコいっぱいあるしさ。
「バカだな、お前。
加湿器くらい買ったってそりゃいいさ。
だが乾いてるのは店だけじゃない、街全体どこもそうだ。
店に入れたって意味ないから、買わないんだ。
だいたい目薬さしたって、肩こりも頭痛もダルいのも変わらないんだろ?
ドライ・アイとかいう問題じゃないよ、ソレは。
職業病だよ、職業病。」
マネジャーがそう言うもんだから、あたしキャバ嬢辞めるかもしんない。
だって目が乾くのが職業病ってこわくない?
それってつまり、ココロが乾くってことだからさ。
え、それじゃキャバ嬢じゃなくてもそういう人多いんじゃないかって?
そうだねぇ、どこ行ってもノリ的にいつだって楽しくお酒飲みましょうだもんね。
誰だって無理して笑ってればそりゃ乾くよね。
場所も人もみんなそんな感じだよ、この街はさ。
辞めてどうすんのってホラ、あたし学生だからさ。
たまにコンパとかで飲みに来るぶんにはいいんじゃん?
なんやかんや言って楽しいトコだから、歌舞伎町って。