ワルになれ
愛されるほどに寂滅を感じるかい。
それはキミが自身の悲しみを感じる時。
早朝のコンビニ前の公衆電話にたむろう外国人女達。
夜の装いを脱ぎくたくたになったスェットスーツを着ている。
肩をすくめ身を縮こませて嘯く決り文句。
帰らない
帰れない
仕方ないでしょ
閉店後の百貨店敷地内で寝入る浮浪者達。
灰色の制服を着た警備員が腕を掴んで罵る決り文句。
ここで寝ちゃダメだよ
よそへ行きなさい
みんなの迷惑になるから
駅前の交番には昨日の交通事故死傷者数と行方不明者のポスター。
数字の中に写真の中にいるのは他人。
オレは生きていて今日もあくせく働きに行くところ。
・・・生きている?
生きるとは仕方ないと嘯きみんなの迷惑になると罵られることなのか。
悲しいのに涙も出ない乾いた目で無感動に時を過ごすことなのか。
そしてオレは鏡の中の自身を見て気が付く。
言い訳や遠慮はすればするほどオレ自身を蝕むことに。
だったらいっそ開き直り無遠慮になろう。
他人の涙でオレ自身を潤そう。
それこそが生きている証となり感動的な毎日を得られるならば。
オレがワルになった経緯はざっとまぁこんなところさ。
単純かい?
人生そんなもんだよ。